2013年11月9日土曜日

高校に行けない生徒はどこに行くの?

当たり前ですが、高校に進学するには一定の成績が必要です
成績が足りない生徒は希望する進学先に進むことが出来ません。

高校の合否に必要な成績がどれくらいなのか、それは佐鳴予備校さん野田塾さんが合否ボーダーを公表しています。
普通科の進学校に進みたいという生徒は、こちらの資料を見れば、およそのボーダーラインが分かります。
ただし、成績が中位・下位の学校のボーダーはあまり当てになりません。おそらく資料が不足しているのでしょうが、内容がめちゃくちゃです。確実に間違っています。野田塾さんなどは正確なボーダーを上位校しか出せないことを分かっていて、初めから上位校しか載せていません。佐鳴さんの場合も、いちおう比較のため載せておきましたというだけのことでしょう。成績下位の高校は、募集定員も少なく、志願者数の変動で年度によって合格ボーダーが大きく上下するというも正確なボーダーを予想しづらい点でしょう。
おそらく、佐鳴さんや野田塾さんの場合は成績上位の生徒だけを相手にする塾なので、それでも良いのでしょう。
しかし、当塾の場合は、学年1位を取る生徒もいれば、逆に最下位を争うような生徒もいます。年度の差し迫ったこの時期には、中3の今頃になって成績が足りないことに焦って入塾してくる困った生徒も例年います。それが個別指導塾というものです。
そういう生徒をほったらかしにすることはできません。きちんと進路指導をしてあげる必要があります。そのため、過去の模試の追跡状況を入念に分析し、ある程度信頼できる統計を調べてあります。

西尾市の場合の状況を説明します。
こうした情報は地域によって事情は大きく変わりますので、他地域の塾の方にはあまり参考にならないかもしれません。私も初めて塾業界に入ったときには、どうやって調べたら良いのかさえ分からずに困ったものです;

●内申22-25の場合

これくらいの生徒の場合、ぎりぎりで地元の公立高校に合格できるでしょう。ただし、確実とはいえませんのですべり止めを受ける必要があります。

候補になるのは、

一色高校 普通科 合格60%ボーダー 21-22
一色高校 生活デザイン 合格60%ボーダー 21-22
碧南工業高校  合格60%ボーダー 23-24
高浜高校 普通科 合格60%ボーダー 21-22
高浜高校 福祉科 合格60%ボーダー 23-24

あくまでも過去の統計による予測です。
上下することもありますし、この数字を推測するのにつかった資料も不足気味ではあります。予想が難しいところは若干高めに推測してはあります。

この中でも一番入りやすいのは一色高校か、高浜高校の普通科でしょうか。
ですが、高浜高校は通学に時間が掛かるというのは大きなデメリットですし、あまり生徒に勧めてはいません。
一色高校は共学の学校ですが、生活デザイン科は事実上女子のみになっています。
一色高校の普通科に進学の場合、平均23%の生徒が大学に進学、32%の生徒が短大や専門学校に進学、残りの45%が就職になります。
生活デザイン科の場合は大学進学はほとんどなく、ほとんどが専門学校または就職になります。
また、公立の下位校の場合は、多くの学校が合否判定を「内申点重視」で行います。
学校の内申点さえ取れていれば、よほどのことがない限り当日点で逆転不合格はありません。ただし逆を言えば内申点が足りていない場合は、テストで挽回も難しいということです。
ただし、一色高校だけは下位校には珍しく「均等配点」で合否を決めます。テストの点数で逆転合格を狙うことも可能です。当塾の場合も、昨年度開校直後に入塾し内申点を7つ上げたにも関わらず合格ボーダーの内申点に達してくれなかったのですが、テストの点数で逆転合格を果たしてくれた生徒もいます。

また、地元の私立高校(安城学園、岡崎城西など)の一般入試は、上述の公立高校よりもボーダーが上のためすべり止め校として機能しません。すべり止めには後述の専修学校などを受けて貰うことになります。

安城学園 合格60%ボーダー 25

また一般入試とは別に、推薦入試という選択肢もあります。
推薦入試を利用する場合、単願での受験となり、併願校を受けられません。
公立の場合は単願ですと、ボーダーがかなり上がってしまうのですが、私立の場合ですとボーダーが下がります。

安城学園 推薦最低基準 22-23

推薦入試を受験するには、中学校からの推薦を貰う必要があります。このとき、部活動などで実績を残していると有利かもしれません。また、逆に推薦さえもらえればよほどのことがない限り合格できます。

ちなみに公立高校の推薦入試は、一般入試の場合より2つほどボーダーが上がると考えましょう。また公立の推薦は定員割れしている場合はほぼ全員合格しますが、応募者数が多い場合は落ちる生徒が多くなる場合もあります。
例えば、高浜高校の場合、毎年80人前後が推薦で受験し、40人が合格しています。
一色高校の場合、50人前後が受験し40人が合格という年度が多いのですが、25年度はちょうど受験者が40人で全員が合格しています。
ただし、もちろん中学校からの推薦が得られないと受験すらできませんので、一般入試での合格より難しいと考えておきましょう。

●内申17-21の場合

内申21以下になると、かなり受験が厳しくなります。
20-21あれば、上述の公立高校もテストでの得点力のある生徒なら、十分に合格が狙えるのですが、実力が伴っていない生徒の場合は困難になります。

候補になるのは、

享栄高校 普通科 合格60%ボーダー 17-18
愛知みずほ大学瑞穂高校 進学A 合格60%ボーダー 21-22
愛知産業大学三河高校  総合科 21-22
豊橋中央高校 普通科 合格60%ボーダー 21-22

やや遠隔地にある学校しか選択肢には入ってきません。

この中でももっとも易しいのが、享栄高校です。
ここ少なくとも数年は、享栄高校は愛知県内でももっとも入学が容易な学校です。
これより易しい県内の高校は学力不問の黄柳野高校だけでしょう。
享栄高校は名古屋市内の高校で、生徒指導もしっかりしていて面倒見の良い学校ですが、このあたりから通うのはかなり時間がかかります。自転車で西尾駅までいって、そこから電車を乗り継ぐと、計算上103分かかります。

(※黄柳野高校 全寮制で不登校生徒の受け入れを趣旨として作られた少し特別な学校)

同じく、みずほ大学瑞穂高校や、豊橋中央高校もかなり遠いですね。みずほ大学瑞穂高校も享栄高校と同じく名古屋市内にある学校で、豊橋中央は三河地域でもっとも易しい私立高校です。豊橋駅から、自転車か渥美線で通えますね。

比較的近いといえるのが、愛知産業大学三河高校です。ですが、こちらも計算上の通学時間は91分なのでかなり辛いものがあります。

県内には、みずほ大学瑞穂高校と同じくらいのレベルの高校はたくさんあります。
上述には比較的、西尾市からの交通の便の良い学校をあげてあります。

これらの私立大学への進学は、公立高校にないメリットもあります。
ずばり、大学入試に有利なことです。愛知産業大学三河高校は専門学科になるので、基本的には就職が基本ですが、普通科の場合は指定校推薦で大学への進学をすることができます。

大学入試の推薦入試には大きくわけて、「指定校推薦」と「公募推薦」があるのですが、もっとも有利な受験形式が指定校推薦で、私立高校はこの指定校推薦の枠を数多くとっています。
たとえば、みずほ大瑞穂高校の場合、大学進学率は49%で、ほかの生徒も多くは短大や専門学校に進学して就職はわずか9%です。
これは先にあげた公立高校よりも大学進学にきわめて有利であること示しています。

今の時代、大学への進学は、就職におおいに有利に働きます。なんだかんだで、学歴社会ですので。私立高校-私立大学と進むのには費用は掛かりますが、それだけの価値はあるのでしょう。

これらの中学校から、これらの高校に指定校推薦で進もうという場合は、ボーダーが一般入試の60%ボーダーより2つほどボーダーが下がると考えて貰えばおよその目安としては良いでしょう。
ただし、高校で部活動をきちんとやり通したことなどが前提で、そういったことがない場合、たとえば不登校期間があるなどの場合などは、中学校からの推薦が貰いにくくなる場合があります。

●内申16以下の場合

普通の高校には行けません。

選択肢としては、先述の黄柳野高校です。
こちらは、非常に独自性の強い学校なので、あまり勧めることはありません。

ほとんどの生徒に勧めるのは、

名古屋工学院専門学校 高等課程
東海工業専門学校 高等課程

などの、専修学校です。
これらの学校は、専修学校といって高校ではありません。しかし、高校卒業資格はとれます。
これはどういうことかというと、これらの学校に入学すると同時に、通信制の高等学校に入学することになるのです。

もちろん、通信制の高校にだけ入学するという選択肢もあります。ただし、通信制で家だけで勉強するのはなかなか継続できない生徒が多いのでオススメしにくいですね。
また、通信制の高校はスクーリングといって、年に何回かは本部の高校に勉強をしに行かなければならないのですが、専修学校と同時入学の場合、そのスクーリングの回数がだいぶ軽減されます。

これらの学校は、基本的にボーダーフリーです。
いちおう筆記試験なども行われますが、生徒の学力を測るためのもので合否を審査するためのものではありません。名前が書けて、面接でよほどなめた態度でもとらない限り合格します。

これらの専修学校は、生徒の面倒見は良く、就職や進学のサポートもしっかりしてくれます。
私が以前担当した生徒は、生徒も保護者も、

「この学校に進んで良かった」

と口を揃えていました。中学校までは勉強をしない生徒でしたが、こちらではしっかり勉強して学内では上位の成績をキープし、電気技師など資格などもしっかりとっていってくれました。

ただし、普通の高校とは違います。
生徒指導はそれなりに厳しく、問題を起こしたりすると退学になってしまう場合もあります。(このあたりは、私立はだいたい公立より厳しいようですね)
また、遠隔地から他に通うことができなくて入学する生徒、中学時代不登校経験のある生徒が多いことにも起因するのでしょうが、続けて通い続けることができない生徒も多く発生します。
先述の生徒が入学したときには、「はじめの1学期間で同級生が5人減った」とのことでした。

また、どの学校もいずれも小さな学校です。普通の学校のような広い敷地はなく、一般的なビルに学校の看板をつけただけというようなところが多いです。
なので、運動部は「野球部」のみ、とか、運動場は内ので公共の運動場をレンタルするため、体育の授業が週に1回まとめて4時間行うといった独特のカリキュラムになってしまうような問題点もあります。(それはそれで楽しいようですが)


なお、より詳しい資料は、塾生に配布しています。
進路というのは、生徒や保護者が自分で考え、選択していくものです。しかし、多くの生徒や保護者は選択する前に前提となる情報を知りません。そうした情報を発信していくのも塾の役割の1つだと考えています。


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